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【レビュー】コミューター / 第6集掲載

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【レビュー】コミューター / 第6集掲載

【概要】

 この「コミューター(Commuter)」は、元々は“通勤者”を意味する単語である。航空機でコミューターと呼ばれるのは、比較的短距離の拠点を結ぶ小型旅客機を指すことが多い。この「よく飛ぶ紙飛行機集 第6集」掲載の「コミューター(N-556)」もその類のもので、いかにも大空港と離島を結んでいそうな、美しい姿の小型旅客機となっている。美しく細長い、高アスペクト比のテーパー翼。迎え角はこの時期にあってガッツリ滞空仕様の0.5°。比較的大きめに取られている水平尾翼と、二宮先生のトレードマークにもなっている特徴的な双垂直尾翼のフォルムが相まって、創作紙飛行機でありながらプロフィル・モデルのような外観を持った、鑑賞するにも良い紙飛行機となっている。特にその、細長い削り節のような胴体が美しい(例えが悪いなオイ!!)後述するが、その外観に違わぬ滞空性能を持つため、甘く見て狭い場所で飛ばすと遠くにスゥ・・・ッと優雅に飛んでいってしまう。違う意味でご注意頂きたい高性能機である。
余談であるが、この機体は他の第6集掲載機と異なり、月刊誌「子供の科学」には掲載されなかったようである。いわば、“よく飛ぶ紙飛行機集”の書籍購入特典のような存在だったようだ(?)


【作り方・飛ばし方】

 元々、二宮先生の設計方針が現代の紙飛行機の基本方程式に至るブレイクスルーを果たした世代(1982年頃)に属する紙飛行機であり、また先生ご自身、だいぶペンに脂が乗っておられたとみえ、部品精度も高ければパーツ設計にも隙がない。書かれている通りに切り抜き、組み立てるだけで、作って良かったと実感出来る素直で美しい飛行を体感出来る。部品点数も多くなく、迷うことなく組み上げることが出来る。シンプルな設計である。飛ばし方も特にヒネリはなく、手に優しく持ち、弱めに投げるだけで主翼が直ちに仕事をはじめ、綺麗に滑空を始めてくれる事であろう。シックで無味乾燥した競技用機が氾濫する現代においては、取っ掛かりの入門にこそピッタリの機体かも知れない。

▲グラフィックツールで重ねてみたが、あまりに精度が高くてびっくり。工学博士としての二宮先生の凄みを実感せざるを得なかった


【滞空性能】

 2021年にこの「コミューター」の製作を行うにあたり、主翼をMOST(※)化させて製作した。これをやった理由は”主翼が高揚力を発生しそうだったから”だ。その結果なのかどうかは怪しいところだが、冬の夕方前、特段上昇気流の発生していない環境で40秒以上の滞空記録が確認されている。胴体をキチンと高剛性に作り、ゴムカタパルトによる強力なGに耐えるようにしてやることで、高い高い空へ上昇し、その自慢の主翼で低い沈下率の滑空を続けてくれる。垂直上昇型のMe163ばりの上昇高度には及ばないだろうが、旋回飛行型紙飛行機の醍醐味であるダイナミックな上昇旋回を見せてくれる。

▲グラフィックツールを使用すれば、のりしろを改造してMOST化する程度は誰でも出来るようになる。仕様改変にあたるため、飛行特性は変わってしまうが、その変化もまた楽しみの1つ。

(※)MOST:Modified Saddle Type(逆鞍型)を意味する造語。主翼の中心を切断し、付け根も高揚力が得られるキャンバー型とすることで主翼から更に高効率に揚力を発生させようという試み。


【改造ポイント】

 先に種明かしをしてしまったが、この機体の改造をするとしたら、まず主翼をMOST化し、付け根まで高揚力を狙う設計にしたい。そうすることで、高アスペクト比による高効率な主翼がさらに性能アップする。そして、強力なゴムカタパルト上昇に耐えるよう、主翼の裏貼りを翼端まで延長して補強する……というのも、お馴染みの改造。これといった誤差もなく非常に正確に作られた型紙のため、胴体や主翼、尾翼パーツの作り直しは必要ないだろう。部品の軽量化も合理的なバランスで既に実施されており、これ以上追い込む箇所は少ないものと考える。



【総評】

 姿がプロフィル・モデル並に美しく、工作にあたり難しい箇所は特になし。おもりも必要ない。飛ばせば素直な飛行特性、キチンと作れば滞空競技用機並の上昇と優雅な飛行を見せる。N-556「コミューター」とはそういう紙飛行機である。第6集掲載機では比較的高速に飛行する「ビジネス・ジェット機」と併せ、創作系紙飛行機の魅力を存分に味わえる傑作だと筆者は断言する。この機体は、数ある二宮先生の紙飛行機コレクションの中でも、ハッキリと分かりやすく魅力を堪能出来る名機である。
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