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ねぎみそは、おいしい(゚∀゚)

【ゲーム】[ネタバレ注意]Summer Pockets

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【ゲーム】[ネタバレ注意]Summer Pockets

発売から時期が経ったが、一通りストーリーは最後まで読んだので、覚えているうちに感想を残しておきたく思う。
細かい考察は、その道の達人に譲りたい。

ご存じのかたが殆どだと思うが、Keyというブランドから出ているアドベンチャーゲームはネタバレそのものが値打ちであり、それを知るのは楽しみを大幅にスポイルする行為になるため注意が必要である。
購入を予定されているかたは、こんな雑なエントリーなんぞご覧にならないことを、強く推奨します。
念のため、過去のKey作品のネタも書いているので注意ください。






◆主人公の性格付け:85点
Summer Pocketsの主人公、鷹原羽依里くんは名前こそDQNネームだが概ね気持ちの良い言動、行動をとる人物として描かれており、シナリオ別に比較してもあまり違和感なく描かれていると思う。ただ、話を掘り下げるためだろうが会話相手を尋問、とは言わないまでも根掘り葉掘り問い詰めるシーンがチラホラ散見されるのはくどいと感じられた。これはわざと、あるいはシナリオを組み立てる以上主人公を尋問者にしなければいけないライターの自虐かも知れない。鷹原くんは話の冒頭から、しろはさんに「どすこい」と言われている訳だから。個人的にホッとしたのが、相変わらずKeyのゲームの主人公は可愛げがあるというか、キチンと人間的な魅力を持った人物として描かれていたこと。Keyのゲームの主人公は、単なるヒロインとイチャコラするだけの存在ではない。謎の解決者として、ストーリーの担い手としての存在感が求められると同時に、プレイヤーを魅了するNPCの側面もあると思っている。どう見てもオタク向けのニッチなゲームだが、Keyのゲームにはそれ以上のものがある、それこそがこのブランドの魅力だ、と自分は毎回そう期待して買っている。

個人的に、アドベンチャーゲームにおいて概ねプレイヤーの代行者たる主人公の性格付けは、その他の主要人物たちを差し置いて重要な要素だと思っている。Keyの作品で言えば、好みで言ったらAIRの国崎くんはそこそこ(60点)、CLANNADの岡崎くんはかなり良く(90点)、Little Bustersの直枝くんは不愉快(30点)、Rewriteの天王寺くんは結構良かった(80点)。自分は遊び方のスタンスとして、アドベンチャーゲームに萌えやアダルトな要素をあまり求めていない。ストーリー、それも推理小説顔負けの見事なストーリーを味わいたい。だから、テンションが冷めないために主人公が不愉快な言動や行動を取って欲しくない。そういう意味だと屁理屈屋の理樹くんが主人公のリトバスは惜しかったなと思う。


◆各キャラクターのストーリー感想
クリアした順に書いていく。


①蒼シナリオ(80点)

主人公と最も面白い掛け合いをする人物。
新しいデザイナーのかたの絵だと思うが顔立ちは余り好きにはなれてない。まんまギャルゲーな絵だし…。(ラストの笑顔は良かった)それを差し引いても、この蒼さんは大変魅力的なボケツッコミをこなす人物であり、ストーリー後半の盛り上がりよりも個人的には主人公との掛け合いが楽しかった。双子の姉妹といえばCLANNADの藤林杏&椋を思い出すが、流石にああいう話ではなかった。蝶が記憶と未練を持って飛び回る…と聞くと、セガファンの自分には夢見館を思い起こす訳だが、勿論狩人が居るわけでもなし。幼い頃に何らか眠りについた(蝶に触れたんだろうか?普通に意識不明?)姉を救うため、妹の蒼さんが奮闘し代わりに眠りにつく→目覚めるところまでがこのストーリーのあらましだが、前半に夫婦漫才を山ほどやるだけに後半の健気さとシリアスな展開とのギャップに心打たれた。敢えてシナリオにケチをつけるとしたら、島内全員顔見知りという割に、羽依里くんが見付けるまで蝶に関する文献を加藤さんちの蔵から自力で見つける発想に至らなかったのね、というくらい。
素直で良い子でした。
余談だけど、このシナリオ中に出てくる、羽依里くんに触れる蝶(ずっと待っていた系の)、紬オリジナルのほうのツムギさんのアレだったのがあとになって判った。紬シナリオ進行が先だったら、どう感じただろうなぁ。


②鴎シナリオ(85点)

オチの予想を裏切られたナンバーワンのシナリオだった。まさか、実体すら島に存在しなかったとは。やり損ねた無念という意味では本作中最も派手で、かつプレイヤーの意表を突くお話だったかと思う。しかも、悲しいことに救う手立てもなく、プレイ段階の現実の鴎さんは目覚めない眠りについてしまう。鴎さんのシナリオの終わりも、まるでリトバスの朱鷺戸さんのように、決して訪れない想像上の一幕のような挿絵だった。救われんなぁ、あんなに明るく元気な子なのに、と嘆いていたら、最後の最後でしれっと元気でいらした訳だが、ひたむきにポジティブでサッパリしていて、冒険を追い求める鴎さんが彼女の最大の魅力ゆえ、そういう意味では前半のストーリーで十分堪能できたと思えなくもない。このキャラクターは、絵がNa-Gaさんでハマってるかわいい子だった。萌え絵は基本的に苦手だが、このキャラクターは素直にかわいいと書かせていただく。


③紬シナリオ(80点)

ストーリーを進める前から苦手なタイプだろうと思っていた。「むぎゅ」だぜ? なんだよ、KANONかよ、ウゼぇとまで思っていた。結局は話の作りの良さに魅了されていくのだが、あの「むぎゅ」は本当に必要だったのか、シナリオ担当者にお尋ねしてみたい次第。だーまえさんのアルバム「Love Song」の、確か"グラモフォン"だったか。機械が人間に恋して最期には自ら命を絶つ話を少し思い出した。オリジナルの主人であるツムギのぬいぐるみである紬は、忽然と姿を消し永遠の空間に囚われた主人を探し、永い永い年月が経ってしまった。もう主人を知る人は主人公の祖母を最期にいなくなってしまった。その祖母も夏を待たずに天に召された…紬自身のやりたいことをするように、と言付けして。ラストは本当に泣かされた。羽依里くんが本当にかわいそうだった……。泣き崩れまいと口元を真一文字に結んで、こらえて。背中しか見えなかったが、あの生徒会長さんもきっと大泣きしていただろうと思っている。
健気すぎだよ、この3人。


④しろはシナリオ(80点)

これまで遊んできたアドベンチャーゲーム、大した話ではないが一度もメインヒロインが良いと思えたことは無かった。根がひねくれていて、王道キャラクターを無意識に避けるタチだからかも知れない。しかし、正直に白状するとこのしろはさんは魅力的なヒロインだと思えた。前半はこのキャラクターのシナリオを最後にやったのだが、思ったよりも島内の同級生がからんできてイベントがよく起こる、楽しい日々が続いて良い意味で予想を裏切られた。困難を乗り越え、障害を跳ね飛ばし、ラストにベッタベタな告白の応酬を果たしたと思いきや、船が不具合で鳥白島にUターン…(笑)ああ、笑った。爽やかだった。後半にシリアスなのが来るのは判っていたが、この段階では最高のエンディングだった。
リトバスでは断固、鈴をヒロインと思ったことはないが(偏屈)このしろはさんはヒロインでいいやと思わされた。
ぜひ5万以上稼いで、島を離れて彼女にクレープを食べて貰うべきである。CGコンプとかどうでもいい。可愛いからこそ見るべきである。


◆後半のストーリー感想


⑤ALKA(80点)

ここは軽く書くに留めておこうと思う。細微に渡り考察されているかたがいらっしゃるし、中途半端は失礼だ。

前半のシナリオを進めていくうちに行動が幼くなっていく うみちゃん を見て、リトバスの鈴と理樹を思い出したかたは多かったことだろう。しかも今回は逆パターン。このALKA突入前に うみちゃん の正体が判ったかたは偉いなぁと思う。まさか、母と父が同時にいた時期に舞い戻って、家族一緒に幸せな夏を過ごしたかったがために何度も夏を繰り返していたなんて。

回り回って、ストーリーの始まりのところで生まれ変わりの子と別れて終わるAIR、渚さんが存命するまでなんどもある時期からの高校生活を繰り返し、町の想いを集めて解決したCLANNAD、死の刹那が実は世界のすべてだったリトバス、死んだあとの吹きだまりの物語だったAngel Beats、様々な結末の試行の末に、犠牲を払ってでも前に進むことをよしとしたRewrite。そして本作は、母に幸せをもらった娘が己の存在をかけて、そしてこのために犠牲になった祖母の力を借りて母を救おうとする物語だ。このALKAでは、そのうち うみちゃん が求めても得られなかった未練を満たすまでのストーリーが描かれている……。出来ることなら、夜更けの時間のあるときに進めて頂きたいパートである。
このお話あたりから、真面目に時系列のループを考えだすと頭がこんがらがってくる・・・。
軽く流すかたは、単に うみちゃん が目的を果たせたのだ、と理解すれば良いし、ディープに理解し切りたいかたは、このあとに続くPocketを読んで、この母子+祖母が各々、何を考えていたかを想像することになる。重要な用事を控えているかたは、Pocket突入前に一度区切ると良いだろう。リトバスのRefrainほど強烈にヤバくはないが、この後はクリアまで手が止まらないからだ。


⑥Pocket(80点)

「ダメっ……」
「思い出さないで……」

まるで父親のDNAを継ぐかのように、やはり口元を真一文字に結んで正体を明かすまいとこらえる、うみが・・・もう、だめ。

泣きました。ボロボロに。
ムリだって。どうせいっちゅうねん。
そのあと流れた「しろはの子守歌」は最高に素晴らしかった。
…なんでサントラに入ってないの?(激怒)

※追記:理解した。オリジナルがあったのね・・・後は察し。


さいごのほう、羽依里くんはほぼ空気だったけれど、
AIRから続くKeyの伝統、「母と子は強いきずなである」である以上、
仕方ないのかなと思う反面、もうちょいなんとか・・・とは思った。



◆ラストが中途半端に切れている理由

勝手な予想だが、結局は「誰が羽依里くんのヒロインかを断定してしまうと納得しないクレーマーがいるから」なんじゃなかろうかと思っている。
あるいは、明らかに力が入っていたであろうこのゲームに費やす予算の限界か、ラストのラストを膨らませるゆとりがなかったのか……。
羽依里くんが蔵の整理をやり切ることに深い意味はなかったのだろうと思う。ただ、何の根拠もないが、色々な意味で黒幕と言える鏡子さんが最後のケジメに、と彼をこきつかって自由に整理させたのかもしれない。小さなことだったけど、三世代にわたる壮大な戦いの末、しろはさんは生き残るフラグを手に入れた。もう死ぬことはない。けど、羽依里くんと出会うフラグも失われてしまった。二人は別々の道を歩んで当然の他人同士になってしまった。
そして、最後には、しろはのチャーハンが羽依里くんを繋ぎ止める、という曖昧な終わり方をする。

想像に任せます、は判る。が、どちらかというとAIR・CLANNAD継承カラーの強い本作は、どうせならしろはさんとうみちゃんと羽依里くんが仲良くやってる一枚を、最後にくれたって良かったじゃん、そう思わずにはいられなかった。
Velvet Revolverの”Don't Drop That Dime”みたいなイージーで明るいBGMをバックにさ、3人の、その後の生活が伺われるエンディングが流れても良かったじゃん。
そのくらいは良かったんじゃなかろうか。
そのあたりの完全版を出すから今度買えってか? それだったら買うけど……(ちょろい)



◆その他

・島モン:
 面白かった。Rewriteのやつの発展版だろうか。良く作ってあると思う。

・卓球:
 難しい。タッチスクリーンじゃないと無理じゃない?アレ。

・音楽:
 正直、「しろはの子守歌」以外を欲しいとあまり思えない。しかしそれだけはサントラに収録されていない。おのれ。

・グランドエンド時点での紬さん:結局主人のほうのツムギさんではない? じゃあぬいぐるみの紬がそのまま残っている? はて・・・。



・過去作の使い回しと言われる件:

 夢のないことを書くが、もう、”品切れ”なんじゃないだろうか。
 過去も未来も別世界も、生も死も、色々なストーリーを麻枝さんは考えてくださった。
 これまでの、「不思議だが考え抜かれた世界で小さな奇跡を起こす」というKey路線を踏襲するからには、これまでの作品とかぶる、かぶらなくてもかすることはあるんじゃないかと思う。
 ただ、確かにSummer Pocketsのいくつかのシナリオはあざとく過去作品をなぞる部分があった。
 そういうことは最後の最後まで抵抗してほしかった。それは思う。

 もう麻枝さんが新しいものを作ることがないというのならば、後に続くかたがご自身なりの世界を築き上げていって頂きたい。それがかつての麻枝 准さんの独創的な世界じゃなかったとしても、そこを突き破らなければ、Summer Pockets以上の魅力を放つゲームがKeyブランドで出てくることがないような気がしている。ほかのかたがご指摘されているように。だってそれは、過去資産を食いつぶしているに過ぎないのだから。Summer Pocketsは高いクオリティで作られており、使い回しと批判されるレベルのものではない。が、いつまでもこれだと必ず飽きられると思う。

アドベンチャーゲームというジャンルが、現在の大半のエロゲーのように、2000年前後から本質を全く変えない演歌のような存在に成り下がったいま、そのような枠を飛び越えて心をえぐる作品を毎回生み出してきたKeyには、そのブレイクスルーを果たす力があるんじゃないか、と勝手に思っている。

個人的には、アドベンチャーゲームは好きだ。元々テキストを読むのは好きだし、先の展開を味わうのが、推理小説のように想像の裏を書かれたり、ドッキリさせられたり、恐怖を感じさせられるのが好きだからだ。ギャルゲーなんてこれっぽっちも興味なかったくせに、Keyのゲームにはハマってしまった。
その中でも、AIR、CLANNAD、リトバスに関しては気が狂ったんじゃないかという勢いで遊んだことを覚えている。

誰しもが、これらの再来を期待してしまうのではないか・・・と思う。
自分だってそうだ。

このSummer Pocketsは、一通りあれこれリリースしたKeyがおさらいのように出したのだろうか。
ネタ切れ前の最後の一幕ではないはずだ。
今後も期待しています。



2019/04/01追記:ここまでを、Keyのメイン原画担当だった樋上いたるさんが退職されていたことを知らずに書いていた・・・。この手のゲームの情報は滅多に仕入れないので、こういうことになるのだけど。

いろいろと思うところがあるので、それは別の機会に書きたい。


いじょ。
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