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【レビュー】[ネタバレ]君が望む永遠

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【レビュー】[ネタバレ]君が望む永遠

発売から19年も経過した、非常にテキスト量の多いゲームであるため、かいつまんで書きたい点のみ、備忘のために書き散らしておく。



初版が2001年発売のクラシックゲームであること、当時恐らく、既に大勢の方が細微にわたり感想を述べられていることから、このエントリーでは細かい話は端折り、主に概要と登場人物像について記し、各々のエンディングについては個人的にプレイしたもののみを記す。なお、いわゆるバッドエンディングと、本筋から外れたサブキャラクターのシナリオについては触れない。筆者はゲームのキャラクターがフェアウェイに乗らず鬱蒼とした茂みやバンカー、池にOBした話には興味がないし、打ちっ放しの練習場のゴルフボールの行方にも関心が持てないからである。また、個人的に視聴していないアニメ版についても対象外とする。







◆概要
・[×]長すぎるテキストでぼやける本筋
乱暴に一言で申せば、「話の尺を膨らまし過ぎて冗長なお話が散見されるシリアス系恋愛ゲーム(ただし2001年登場でこのレベルは凄かった)」と考える。
個人的な意見だが、2章で登場する主人公のバイト先(ファミレス)の話は完全カットでもこのゲームは話が成り立つし、各シナリオで主人公が悩み抜く葛藤、要するに長い長いテキストはいずれも内容が同一(悩んだ結果、殆どのシーンに於いて重大な決断をくだせず、「え・・・」「あ・・・」と狼狽しているうちに時間だけが経過し、状況の変化に愕然とし自身を責めるというもの)、かつ何度も繰り返され、エンディングに至るまで主人公の鳴海くんに根本的なところで成長が見られず、読破し甲斐の無いものであるため、2度も3度も読みたくはなくなる。葛藤を描くストーリーが前提として存在していたとしても、もっとテキストはシンプルにまとめられたんじゃなかろうか。これでは、進歩のない鳴海くんが周りのフォローで辛うじて生き延びた受け身ストーリーということになってしまいかねなかったし、そう判断されたかたもいらしたものと思う。唯一の例外として、茜さんのシナリオが存在するのだが……それは後述する。


 ・[×××]主人公によるプレイヤーコントロールへの反乱
レビューページでも指摘されている通り、アドベンチャーゲームではタブーの「プレイヤーの意志に反する行動」を主人公がいくつかのシナリオでやらかしてくれる。優柔不断では説明の付かない流されっぷりを肝心なタイミングで、プレイヤーの意志ガン無視で披露してくれたりもする。(例:よく言われている、遥ルート終盤)。これは人によるだろうが、個人的にはプレイヤーの心に対する許し難い裏切りに値した。作り手のエゴないしは配慮不足が露呈しているなぁ、と思った次第。例えば選択肢で「誘う」というものがあり、それを選択したなら主人公はどんな形であろうと対象を誘うべきで、屁理屈述べて逃げるならその反対の選択肢で披露すべきだった。予算がなかったなら選択肢そのものを消せば良かったのだ。


・[○]理念と打算の同居する割合「リアル」な世界観
 筆者が一番気に入っているのは、この点。このゲームの登場キャラクターは単に理念、つまり現実無視の理想ばかりを主張するクリーンな存在ではない。否応無しに訪れた大きな転機をきっかけに、酸いも甘いも経験した上で、こうあるべきという理念と、こうあってほしい、という打算や願望をそれぞれが併せ持って行動している。実はそのことを一番知らずにピュアに(悪く言えば独善的に)悩み続けたのが主人公の鳴海くんなのだが、彼はそのために大学進学を諦め、3年という時間を浪費している。仮に結論と表層だけを見て判断してしまえば、彼は速瀬さんの火事場泥棒のようなアプローチに乗るべきではなかったし、そこまで本気で遥さんのことを思うなら、高校卒業前に自分自身が堕落したりせず、白陵大は無理でも、どこかしらへ進学、ないし手に職を付けて将来の「もしも」に備えるべきだった。(これは、慎二くんの主張でもある)子供なりに一生懸命考えればその考えに至れたはずである……だが、ゲーム中で散々語られる通り、人間はそんなに具合良く出来ていないし、ましてそれが社会人経験のない未成年であればなおのことである。頭で物をあるレベルまで考えられるようになると、頭の中で結論までこねくり回し、それがあるべき結論と錯覚する時期がある。特に大学生程度の年代はその傾向が強い。そのくせメンタルは未成熟なもんだから張らなくて良いところで意地を張るし、衝動で動きがちで先のことを考えて行動できない、つまり独り善がりにも陥りやすい。この、「独り善がり」が様々なキャラクターによって多数考え出されてはあっけなく潰れ、頭を抱えて悩むというのがこのゲームで何度も繰り返されるため、テキストを読み続ける手が止まる一因になっているように見受けられた。それを緩和しているのは主人公以外の登場キャラクターの「打算」。そして、それを悪意でなく必死の思いで抱え、さまざまな形で主人公である鳴海くんに触れてくるのがこのゲームの最たる魅力だ。それこそがこのゲームの人間ドラマのリアルなところだと思う。

・評価
幸い、このゲームの主要登場人物は非常によく掘り下げられており、性格もあまりブレずに構成されている。鳴海くん、速瀬さん、遥さん、慎二くんの4人組を中心とした展開は悪くなく、高校生活でありがちな悪友同士の付き合いを慎二くんと鳴海くんのシニカルな言い回しによって最低限描いた上で、第2章以降につなげるお話の進め方は良いと思った。色々な反応のあった長い長い第2章については、プレイヤーが日頃どういうスタンスでゲームをしており、人付き合いをどう考えるかで大きく評価の方向が変わったのだろうと思う。単純に、「かつての」遥さんと「今の」速瀬さんをどう考えるか、だけでも人によって判断が違ったはずだ。他方、主人公の悩める世界の1階層外に居たはずの遥さんの妹、茜さんのお話は正直どうなんだと思わなくもなかったが、マストと舵の折れた船が海を漂流してどこかに流れ着くのを待っているような登場人物ばかりのこのゲームにおいてほぼ唯一、自分の意志で強力な右ストレートを放って突き進む突貫力を持ち合わせた稀有な存在としての魅力は十分に持ち合わせていたと思った。茜さんがいなかったら、このゲームは、物事を決められず彷徨う幽霊船達のひしめく暗礁地帯のようなゲームになっていた気がする。


◆登場キャラクターの性格および傾向 

前提:このゲームは主役ヒロイン2人がお互い、当初から鳴海くんを意識していたことを知っており、密かに「取られたくない」という対抗意識があった。このため、遥さんシナリオを進めると最後には速瀬さんがドロンして居なくなり、速瀬さんはその逆になる。(こちらは涼宮一家共々疎遠になる) どちらも一見、相手を思いやる言動を見せ、遥さんに至っては速瀬さんのもとに戻るよう突っぱねる、がそれは嘘であり、相手を選ばないで欲しいと心底願っている。遥・速瀬のどちらかしか立たない(または、共倒れ)という前提のもと、メインの3ストーリーは進行する。


・涼宮 遥
 このゲームの主役ヒロインの1人。おっとりしてなかなか自分を前面に出すことが出来ない奥手の人。肝心なところでは強い心をもって友人と接することができる。家が裕福、ご家族は温かで申し分のない身分の人物だが、お金持ち特有の嫌味なところは何一つ存在しない、ある意味でパーフェクトな子でもある。主人公の鳴海くんを、おそらくは誰よりも想い続けた一途なところがあり、それはどのシナリオでも変わらない。一途に変わらないことが強みである人とも言える。第2章以降、立ち上がるのに鳴海くんのサポートを必要とし、得られた場合は本人の願い通り、見事に復活。得られなくても、鳴海くんに関して同じ痛みを共有する速瀬さんがサポートに入ったならどうにか立ち上がることが出来るが、それ以外では離別する以外、ゲーム中にまともな選択肢がない。このキャラクターは、このゲームのタイトルを本当の意味で端的に表していると考える。過去から現在、未来にかけて、最初の最初に鳴海くんに思いを告げた人物として、初志貫徹させてやりたい、言い換えると、最初に主人公を好きになったのだから願いを成就させてやりたい。そう思ったプレイヤーはこのシナリオを好んだのではないか、と思う。筆者はこのタイプである。このキャラクターは腹黒要素があまり無く、ストレートな恋愛ものを好む人にとっても相性の良いお話だったんじゃなかろうか。もうこういうタイプは時代的にクラシックなのかも知れないけれど。ストーリー終了後、円満に遥さんを立ち直らせた鳴海くんは涼宮一家の心からの感謝を受け続けることになる。最早鳴海くんの身は固まった、つまり逃げ場は無くなった訳で、何があっても遥さんとの未来しか有り得ない流れ。良かったな鳴海くん。涼宮一家と仲良くな。
 

・速瀬 水月
 このゲームの主役ヒロインの1人。シナリオをまともにクリアしていない(クリアフラグを立てるためにスキップでラストまで進めたことならある)ため深いことを書けないが、心の99.5%くらいを遥さんに占められていた鳴海くんをモノにしようとあの手この手で必死になってアプローチをかける、けっこう健気、悪く言うとしつこい人物でもあると思った。速瀬さんは明るくハキハキしており、日頃は押しも強く魅力的なキャラクターであるのに、鳴海くんに近づくために重要な部分を隠してしまったがため、本当は最初に片付けておくべきところをおざなりにしたまま、本ゲームの第2章に突入してしまった。茜さんのシナリオではこれが土壇場で致命打になり鳴海くんに別れを告げられるし、遥さんのシナリオでは、フラフラする鳴海くんはともかく、遥ルートを目指すプレイヤーの、分かりやすく言えば筆者の不快感を買った。いろいろな解釈があるかと思うが、遥ルートの速瀬さんは、早々に「なんで実業団入りを諦めたのか」を正直に告げておくべきだったと思える。遥さんのお話の中では、鳴海くんは最後までそこについては騙されたままだった。そのことが最後までしこりになるのは判っていたはずだ。それを言えなかった速瀬さんも肝心なところは詰めきれない、鳴海くんを笑えない優柔不断チャンだったとも言える。筆者は、遥さんの悲劇の直接の発端を作った人の割に図々しいと感じており、最後まで高い好感は持てなかった。茜さんの第3章(フザケンナと思えるほど、本編の毅然とした鳴海くんが元通りになっている)で説教がましいキャラクターとして登場し、釈然としないまま話が畳まれることについても反感しか覚えなかった。損な憎まれ役だとは思う。


・鳴海 孝之
 このゲームの主人公。アドベンチャーゲームにおいて主人公はプレイヤーの代行者であるべきだが、前述した通りたまに反乱する。八方美人していてもろくな結果を招かないよ、を地で行く苦労人。ラブコメ修羅場によく駆り出されるタイプの「決められない人」だ。ただ、その優しく、誰に対しても(接し方に差はあれど)誠実な人物像はこのゲームの登場人物の誰もが認めるところであり、一人でふさぎ込んでしまっても誰かはフォローに入ってくれる。(道を踏み外さない限りにおいて)後付の理想論はいくらでも展開出来るし、安易に速瀬さんとくっついたのは逃げ以外の何者でもないとは思うが、鳴海くんが3年間を怠惰に過ごしたことについては、遥さん本人だけでなくご家族まで巻き込んだことの影響が大きいのだと思う。周りの人の痛みがわかるからこそ、自分を痛めつけずにはいられない、それが唯一の免罪だと思いこんで、そうする。青臭い思考ではあるが、子供時代にはありえる思考だ。鳴海くんはそのことの無意味さを知るのに3年かけてしまった訳だが、いずれのエンディングを迎えても彼は、いずれ3年のハンデを取り戻して生きていくことだろう。鳴海くんが第2章にあのような優柔不断キングに成り果てたのは、「最も失いたくない対象」を、「最も残酷な理由」で失い、絶望の底にあった時に「具合良く支えてくれる相手が現れた」からであり、独善とはいえあっちゃこっちゃ揺れる彼を一概に責めることはできない。男なら誰しもがきっと一度は、自分を犠牲にしてでも守りたい相手を考えることがあるはずで、それはベストとは言えないことなんだよ、というシンプルな回答を、鳴海くんはどのシナリオでも求めて探そうとする。基本的にはうだうだ悩み、振れまくった結果どうにか着地点に到達するが、例外として、茜さんのシナリオでは鳴海くんらしからぬ明確な意思と行動をもって、終盤の話を畳んでくれる。これは、茜さんのシナリオでのみ「なぜ速瀬さんが実業団入りをやめたのか」の本当の理由に、鳴海くんが自身で気がつくからだ。鳴海くんは自分自身の問題解決力は貧弱そのものだし他人の気遣いにも鈍感だが、他人の自分に対する自己犠牲に対しては、恐らくは最初から明確な意見を持っている。生き地獄を見た自分と同じことはするべきではない、例えそれが自分の側にいるための方便だったとしても。だから鳴海くんは他ルートの優柔不断がウソのように、茜さんルートでは速瀬さんをキッチリ振った。賛否両論あるだろうし理解の難しいところだが、この話については鳴海くんの意見は的を射ていた。実業団の話だけではない。自分を殺して他人に尽くしても、何年もそれが続く中でそのままにしていては、お互いが幸せにはならないと彼は諭す。付き合うきっかけからそれが起きた以上、それは終わらせることがゆくゆくの速瀬さんのためだ、と、他ルートのウダウダが嘘のように達観した鳴海くんをこのルートでは堪能することができる。このゲームでは速瀬さんのアクションと主張が非常に強く、放っておけば彼女のペースで話が流れていきがちだが、鳴海くんは速瀬さんに対してだけは強い意志をもって意見を返し、彼女の欺瞞やごまかしを指摘する。それがカウンターマスとして作用しこのゲームの世界のバランスが取られていて巧みだなと思った。冒頭で述べたとおり、これだけ色々経験した猛者でありながら後日談で大した成長が見られないのは残念だった。このゲームの第3章はもっと意志の強い鳴海くんで良かったのではなかろうか。また、遥さん第3章の苛烈なボケは要らなかったのではなかろうか。
コレ以上彼をいじめないでやって欲しかった。第3章以降に彼が頭を抱えるのはあんまりだ。


・平 慎二
  ギャルゲーにはなかなか登場しない、ストーリーに深く入り込んでくる男子キャラクター。どちらかというと、彼が密かに思いを寄せていた速瀬さんの肩を持つが、最後には鳴海くんの考えを尊重する、良い男である。第2章突入時点でも予定通りに白陵大に進学し、ちゃんと学生をやっているあたりは偉い。彼は最も現実的な判断によって、遥さんに起きたことに向き合っている。泣けるのは彼がそれを一切アピールせず傍観者、時に裏方に徹していること。悲しみに暮れて自らの将来の道を閉ざした短絡的な鳴海くんを「甘ったれ」と解釈する彼は、プレイヤーの鳴海くんのウダウダに対する不満を最も代弁しているキャラクターと言えるかも知れない。


・涼宮 茜
このゲームの誇る最強の核弾頭であり、爆弾発言のヘヴィ級チャンピオン。漂流する優柔不断な登場人物たちを鋭い拳で貫き、前にも横にも後ろにも吹き飛ばす、非常に爽快な、スリリングなネタの尽きない魅力的なキャラクターである。3年前から思いを募らせ、溜め込んできた鳴海くんに対するアクションは主役級の速瀬さん、遥さんを上回る熾烈さであり、思い込んだら一直線、他の追随を排除する明確な意思表示さえも事欠かない生粋のグラップラーである。遥さんの話では思いを封印し、鳴海くんを「お兄ちゃん」のポジションに再び据え置くことで心にけりを付けてはいるが、鳴海くんがひとたび茜さんの心に触れてしまえば、発射台に装填された弾頭の導火線に割合あっさり火がつく。点火されたグラップラーは止まらない。彼女は、速瀬さんが鳴海くんの心の隙間に入り込む形で居場所を射止めたことを知っており、それを破壊することを全く厭わない。茜さんは、相手が遥さんであれ自分であれ、鳴海くんがゆくゆく涼宮家の一員になることを第1章の時点から一貫して望んでおり、その2つ以外の選択肢など初めから望んでいない。茜さんのルートでの鳴海くんの仕事は、どこに飛んでいくか判らない猛烈な台風の目である茜さんをあるべき結論にまで導くこと。茜さんは自らを傷付けながら、姉を裏切り続けてきたという罪悪感を抱えたまま前へ突進するグラップラーである。茜さんの話では二度にわたって茜爆弾が投下される。その炎に彼女自身が焼かれてしまわないよう、最後の締めは鳴海くん自身にキッチリ被らせてストーリーを終わらせてやろう。一途な遥さんを振る、しかも妹が理由で、という残酷な結末ではあるが、茜さんのためにも、涼宮一家のためにも鳴海くんの決意は揺るがせてはならない。 後日談は割合アッサリしているが、鳴海くんに言われたとおりに自らの道を成功させ、彼の教えをしっかり継承している。著名人となり、一目置かれるようになってもグラップラー茜さんの心は何も変わらない。一見何のとりえもなさそうな鳴海くんと共に幸せを掴んでくれることだろう。


・涼宮 宗一郎
  いわゆる涼宮パパ。原作のゲームでは下の名前が出て来ることがなかったが、アニメ版になって名前が設定されたそうなので記載している。大学講師でスポーツ(ゴルフ?)も嗜んでおられる、爽やかなナイスミドル。立派な一軒家に妻、娘2人で穏やかに暮らしていた。遥さんが鳴海くんと付き合うようになってからは、息子がいなかったこともあって?鳴海くんを気に入って目をかけていたようだが、例の事件後は状況がガラッと変わり、心身ともに休まる日のない日々を送られたものと思われる。絶望のどん底に落ちた鳴海くんに対しては非常に賢明な判断をくだし、このまま人生を棒に振りかねなかった彼を自由にする、つまり遥さんのお見舞いに来ないよう、恐らくは苦渋の決断をしている。つまり、慎二くんと同じで、遥さんを大切に考えるからこそ、自分の生活を大事にして欲しいと願った。そうして一度は鳴海くんを遥さんから遠ざけたが、後に鳴海くん本人に告げた通り、これは「鳴海くんが立ち直れなくなったら、涼宮一家はどうしたら良いのか。鳴海くんと同じ思いをしなければならないのか」という不安も含まれていたことが明らかにされている。つまり、それだけ宗一郎さんにとっても、娘である遥さんの憧れの存在であり、彼女の幸せの象徴であった鳴海くんを大切に考えていたということになる。遥さんの後日談では、妻の薫さんと共に鳴海くんを心から歓迎、また感謝することになる。きっとゴルフに連れて行ったり、飲みに出掛けたりして遥さんを呆れさせることであろう。宗一郎さんにとっては「ハァ?!」だったであろう茜さんエンド後も、当初は大激怒だったそうだが結局後日談で鳴海くんを食事に誘おうとしたり(しかも、貴重な茜さんの帰国タイミングで)、宗一郎さんは何だかんだ鳴海くんを気に入っておられたのだと考えられる。良かったな鳴海くん。姉妹のどちらを選ぼうとも、涼宮家の皆さんと幸せにな。


・涼宮 薫
  いわゆる、涼宮ママ。性格は遥さんのまんま遺伝元であり、おっとりしていてやや天然である。娘である遥さん、茜さんを大切にされており、いつも2人の行末を気にかけている、母親として申し分のない人物である。引っ込み思案の遥さんの初めての彼氏である鳴海くんにも好意的に接しており、歓迎していた。第2章では宗一郎さんが呼び戻した鳴海くんを見て、薫さんだけはストレートに、また遥さんのパートナーとして側にいてやって欲しい、と鳴海くんに縋った。その姿は正真正銘の母親のものであり、鳴海くんの事情無視ではあったが、過去と現在に揺れた鳴海くんの心にきっと響いたことだろう。母娘の願い叶って鳴海くんが遥さんと共に退院したあとは、恐縮するほど毎回のように鳴海くんに深いお礼を述べる日々であったことが鳴海くんの口から語られている。ここまで述べれば判る通り、鳴海くんは当初から涼宮一家全員から歓迎されていた。このような幸運は、現実世界では滅多にあることではない。仮に自分がこのような恵まれた幸せな家族の子とお付き合いするとしたら、このご家族を不幸にするような行動はとてもではないが、出来ない。


・香月モトコ
  遥さんの担当医。ヤニはくわえるわサバサバしているわ、半ばスクラップと化したスーパーカーで暴走するわ、と、とてもではないが医者には見えないが、幸いあのサイコな反日精神医と違って、至ってマトモな思考の持ち主である。悩み抜く鳴海くん、速瀬さん、茜さんの良い相談役として、半ば親の代わりのようにアドバイスを提供してくれる。もし先生が居なかったら、このゲームの漂流者たちはたちどころに難破し、コミュニケーションをとることもままならず沈んだに違いない。ゲームプレイ中は、鳴海くんの向く方向が何を意味するのかを理解した上で、それをどう選択すべきかを考えられるように彼にアドバイスしてくれる。何があっても、どのような結末になってもそれが人生だよ、と知らせてくれるのである。
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