Floods
A dead issue (もう済んだ問題)
Don't wrestle with it (そんなものと取っ組み合うな)
Deaf ears are sleeping (聞こえない耳は眠りこけている)
A guilty bliss, so inviting (let me in), (罪悪の至福、とても魅力的(俺を入れてくれ))
Nailed to the cross (十字架にはりつけられた)
I feel you, relate to you, accuse you (お前を感じる、関係している、告発する)
Wash away us all (俺たちすべてを洗い流してくれ)
Take us with the floods (俺たちを洪水で連れ去ってくれ)
Then throughout the night
They were raped and executed(夜通し彼らは、レイプされ、処刑された)
Cold hearted world (無慈悲な世界)
Your language unheard of the vast sound of tuning out (お前の言語は、聞いたことのない消え入る広大なサウンドだ)
The rash of negativity is seen one-sidedly ,burn away the day(悪意の発露は一方的に起こり、一日で燃え尽きてしまう)
The nervous, the drifting, the heaving(張り詰め、漂流し、持ち上がり)
Wash away us all (俺たちすべてを洗い流してくれ)
Take us with the floods (洪水で連れ去ってくれ)
Then throughout the day mankind played with grenades (一日中、人類は手榴弾で遊んだ)
Cold hearted world(無慈悲な世界)
And at night they might bait the pentagram(そして夜には、彼らは五芒星を呼び寄せるかも知れない)
Extinguishing the sun(太陽を消し去る)
Wash away man, take him with the floods(ヤツを洗い流せ、洪水で押し流すんだ)
Die, die, die, die, die, die, die, die...
Die, die, die, die, die, die, die, die...
Die, die, die, die, die, die, die, die...
Die, die, die, die, die, die, die, die...
ヴォーカルのフィル・アンセルモが一番ヘロインでラリパッパだった頃の曲と思われ、正直歌詞の整合性なんかは考えられているように思えないし、翻訳していてこれを何らかの一つの意味にまとめられる気はしない。1990年台の曲であることから、冷戦が終わってもなお戦争の続く社会を嘆いて作ったあおくさ~い歌なのだろうとは思うが、当時のラリパッパなフィルに尋ねてみないと判らない。とはいえ、なんとかアルバムを出そうという結果になったとしか思えない、フィルのエゴが悪い方向に出てダイムのギターサウンドがひどいことになった「Reinventing the Steel」を除けば、全盛期にあったパンテラの事実上最後のアルバムはこちらだと思っているし、パンテラの全アルバムを通しても独特のムードを持つこのアルバムのこの曲は、個人的にはお気に入りの一曲となっている。特に、3分49秒のあたりから始まるダイムのギターソロと、アウトロのなんとも言えない切ないギター、曲全体を支配する希望一切なしのダークな世界観が好みである。それが薬中のフィルの持つ世界観の発露だったのなら、それは彼の魅力ということにもなるだろうか。
パンテラの創立者である偉大なるアボット兄弟(ヴィンセント・アボット、ダレル・アボット)は天に召されてしまい、存命のメンバーは残りの2人、フィル・アンセルモとレックス・ブラウンの2人だけ。事実上、パンテラを復活させることはもうできないだろう。フィルは来日してパンテラの曲を歌ったらしいが、個人的には屋台骨であるアボット兄弟抜きのパンテラなんてカヴァーバンド以上の意味を持たない。何故って、パンテラは彼らアボット兄弟が一から起こして叩き上げてきたバンドなのだから。ヴィニーのハンマーをぶん回したようなリズム感のあるドラム、ダイムの唯一無二のカミソリのような切れ味のギターサウンド、精密なリズム感、抑揚をきかせたセンスの良いギターソロあってのバンドだった。確かに、ベーシストのレックスのサウンドは好きだし、バンドを引っ張る原動力としてフィル・アンセルモは多大な貢献をしただろうが、それでもこのバンドはアボット兄弟あってのものだったと思っている。
Van Halenと同じく、フィルはパターン通りのLSD(Lead Singer Disease:ヴォーカルが自分が主役と勘違いしてバンドに干渉し始める症状のこと)にかかり、色々あったのだろうが、結果的には自らの居場所を自分で壊してしまった。アボット兄弟を脅すようなことをインタビューで述べていたのも読んだことがある。彼はセンスのある、ひょっとしたらカリスマ性もあるヒーローだったのかも知れないが、その大きな拳を身内には振り上げるべきではなかった。
何が言いたいかというと、My永遠のギターヒーローであるダイムバッグ・ダレルを殺させたフィルは一生涯許さねぇぞこの野郎、という意味であります。
好きだけども、許さん。という感じ。
歌詞に戻ると、結局この歌で連呼されている”Floods(洪水)”が何を指すのか、自分にはよく判らなかった。
世界が滅亡するという意味合いで使ったのか、もうすべてなかったことにしてくれ、とラリパッパーフィルが脳内で思ったのか。
”五芒星を呼び出す(誘う)”(Bait the Pentagram)というのは恐らく、悪魔を呼び寄せるという意味ととるのが自然かなと思う。
なんにせよ、正気の人間が書けるようなダークな歌詞ではないし、曲でもないと思う。
当時のフィル以外の3人の心境がどうだったのか、聞いてみたいものである。
普通の人が聞いたら、「えっ最近何かあった? やばくねこれ?」という反応が返ってくるだろう陰鬱な曲だからね。
以上.