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【レビュー】三角胴 飛行艇 / 第1集掲載

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【レビュー】三角胴 飛行艇 / 第1集掲載



二宮先生オリジナルの紙飛行機の一種として、「三角胴紙飛行機」が挙げられる。恐らくは普通の二宮式紙飛行機では胴体の作成に時間を要する上、セメダインCの乾燥に丸1日以上かかり、せっかちな子供や初心者が待つことが出来ず工作に失敗し嫌気が差す……という問題に配慮し、単純で少ない部品点数で手軽に、そこそこは頑丈な胴体を作ろうと先生がお考えになったのだろうと推測する。シビアなことを言ってしまえば、軽量ゆえ風に吹き飛ばされやすい、張り合わせの胴体と比較して空気抵抗が高く、軽量の割に滞空競技用機ほどには飛ばず=沈下率が高く、精密かつ均等に折り目を付けないと機体のよじれ、傾きを直せなくなる、などいくつかのハンデがあったせいか、先生の後年の作品ではあまり見られなくなってしまったが、通常の張り合わせ胴体とは全く異なる異次元の軽さからくるゆったりした滑空は独特であり、未経験のかたにはぜひ試して頂きたい味わいである。

▼「よく飛ぶ紙飛行機集 第1集」で多数の型紙掲載とともに記述されている三角胴の解説。軽く頑丈に、短時間で作れるという意味では確かに合理的な方式である。


三角胴はその構造上、ただ部品を貼り付けただけだと主翼取り付け角0°、水平尾翼も0°である。そのままでは効果的な揚力は得られないため、水平尾翼の後端を僅かにねじり上げて角度をつけ、主翼と水平尾翼の角度を付けたことにして対処する。つまり結果として得られる主翼の迎え角も、水平尾翼の角度も作り手の調整次第ということになる。大体の三角胴機で機首におもりを積むことを思えば、主翼に迎え角が付いた状態で機首が、わずかとはいえ上がる姿勢になるのはベストとは言えない。本当は主翼側に取り付け角を与えたいのだが、これがまた難しい。三角胴紙飛行機は非常に軽量ゆえ、速度の乗る飛行距離型よりは滞空型の調整と相性が良い。すなわち、迎え角は僅かで足りる。三角胴の張り合わせ部分に0.5~1°の迎え角を与える、と書くのは簡単だがこの調整は簡単ではないだろう。筆者の場合、あれこれ考えているうちに、三角胴機本来のメリットを潰すくらいなら、多少の滞空性能に目をつむったとしてもシンプルに作りやすいほうが良い、と悟った。どのみち空気抵抗の低い張り合わせ胴体の紙飛行機には及ばないのだから、わざわざ部品点数を増やして僅かな性能向上に躍起になることもないと考えたのである。本当に性能を追求するのであれば、いつもの貼り合わせの胴体を作れば良いのだから。

一通り三角胴について書いたが、その中でもこの“三角胴 飛行艇”はキワモノの多い三角胴機シリーズにおいてはオーソドックスな部類である。ごく普通のテーパー翼、ごく普通のストレートな水平尾翼、垂直尾翼だけやや凝った双尾翼だが工作は至って単純。工作を単純にしたかったからか、この機体に主翼の裏張りは無く、本当に三角胴を作って部品を貼り付ければ完成してしまう。その手軽さは魅力だが、「1mでも上空高くに放り上げて美しい滑空を楽しみたい」教の信徒である紙飛行機マニアであればやはり、この機体をカタパルト射出対応にした上、各部を強化してやりたいと考えるだろうし、スタンダードな形状の普通型機であるがため、エンジン・ナセルと必殺の二宮式プロペラを取り付けて本当の飛行艇スタイルにしたり、いっそ複葉機化して、第2集の不滅の名機である“複葉飛行艇”のミニ版にでっちあげても面白いと考えるだろう。少なくとも筆者はぜひやってみたいと思う。



【作り方・飛ばし方】

三角胴機の制作にあたっての注意点は共通している。
①「正確に折り目を作り」
②「正確に重ね」
③「真っ直ぐな胴体にする」
この3つである。
しかしこれが、非常に難しい。
①と②はそれほど難しくはなく、気をつけて筋を入れ、丁寧に折り目を付けることで割合難なく達成出来るだろうが、接着剤を塗って左右のパーツを貼り付ける③の工程が常に曲者で、だいたいは機首か機尾、あるいはその両方が左右によじれ、歪んでしまうのである。理由は判っている。三角胴の部品の接着・固定に使用するクリップが正確には左右対称ではないためだ。三角胴の接着面を挟み込むクリップの力が均等でないために貼り合わせ面が歪み、結果として真っ直ぐでない胴体になってしまう。何度試してもこの現象が起きるため、しまいには三角胴を制作することに恐怖を覚えるほどになってしまう。果たしてどうしたら、うまくいくのであろうか?現実的には、あまり力を加えなくても貼り合わせ面が重なるように事前に入念に折り曲げておき、セメダインCを塗った後は最小限の力で挟み込み、固着する前に歪みを取り去るしかない。あるいは、クリップではなくもっと平坦で強力な長いものを使用して固定すべきかも知れない。この“三角胴 飛行艇”は胴体後部が細い形状をしており、更に正確な重ね合わせを難しくしている。例えば、長さ10cm程度の板を4枚用意し、胴体前部と後部の2箇所に分けて挟み込み、強力な何かで固定する・・・等。筆者は過去に何機作ったかは覚えていないが、主翼と水平尾翼が真っ直ぐピシっと水平になったことは一度もない。

オリジナルの状態ではカタパルト射出なしのお手軽小型紙飛行機である。主翼も1枚ペラなので乱暴に扱うと折れてしまうため、優しく投げてやって滑空を楽しむ程度にとどまる。三角胴機なので水平尾翼の後端をある程度ねじりあげてやる必要があるが、主翼に対してそれなりに水平尾翼面積を持つ機体なので、ねじりあげる程度は控えめとし、重心点を多少後方セットする、すなわち滞空型のセッティングにしても特に問題なく飛行させることは可能。元の重心点は主翼幅の中央よりやや前寄りだが、これより3mm程度後方にずらす分には問題ないだろう。


【滞空性能】
軽量の割に空気抵抗で沈降していく三角胴機なので、期待するほど長時間滞空してくれる訳ではないが、持ち前のふんわり飛行により10秒以上飛行させることは難しくない。主翼を2枚貼りとし、機首を改造してカタパルト射出出来るようにすると更にタイムを伸ばせるが、筆者の計測ではこの機体は強力なゴムで高く打ち上げようとしても余りきれいに上昇しなかった。三角胴ゆえ軽すぎて、風の影響を強く受けるからかも知れない。後年の先生の三角胴機はそうなっているが、機首は縦に潰して固定する(機首パーツ貼り合わせの時点でやっておくと、セメダインCの固着効果と相まってビシっと固まる)と前面の空気抵抗が多少でも減るはずなので、元の形にこだわりがあるのでない限りはそうしておきたい。


【改造ポイント】
おなじみのカタパルトフックの増設、主翼裏張り追加はセットで行いたい。
三角胴機なので、針金製のカタパルトフックを取り付けるのは無理がある。元の形が変わるのは口惜しいが、胴体の形を改変してのフック増設が合理的といえる。おもりレスとするため、またフックが紙4枚ではやや心もとないため、機首パーツをもう1枚増設してしまうと楽であるが、三角胴で紙3枚を貼り付ける場合、中のパーツほど折り目をわずかに内側にずらして作る必要があることにつき、配慮が必要となる。いずれも、グラフィックツールを使用すれば大して難しい作業ではない。

▼筆者の改造例。垂直尾翼取り付け部品を3分割し傾きにくくした上、カタパルトフック増設、機首部品1枚追加しおもり不要とした。軽量な三角胴なので重心点調整は非常に楽であり、この程度のパーツでクリップ不要となる。これならば複葉機に改造し、重心点を前に持っていってピッチングを抑えることも出来るのではなかろうか。






【総評】

胴体後部の貼り合わせがやや難しい以外は易しい工作で組み上げられ、大して接着剤を必要とせず完成し、手軽に飛ばすことのできるかわいい紙飛行機である。シンプルな形ながらキチンと飛行艇のデザインをしているのも魅力的。7枚も9枚も胴体を張り合わせている時間のない忙しいサラリーマンが、週末の1日の休みの日に気分転換に公園に出かける際のお供にいかがだろうか。三角胴の作り方さえ慣れればすぐ作れる上、オール紙製なので運悪く木に引っかかったりロストしてもちゃんと自然に還ってくれる。そういう観点でもお手軽な一品と言えるのではなかろうか。
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